150XC-W エンジン腰上オーバーホール
はじめに
150XC-Wのエンジン腰上オーバーホールを行いました。
2ストエンジンをバラすのは初めてですが自分でやってみました。
素人の整備記録なので参考にされる場合は自己責任でお願いします。
経緯
新車購入からちょうど1年が経ったので一度腰上を開けてピストンとシリンダーの様子を見てみる事にしました。
これを指標に次からのメンテナンス頻度を決めようと思います。
マニュアルでは80時間でピストン交換が推奨されていますが、僕の場合は納車から1年でエンジン稼働時間65.6H、走行距離が1174kmでした。
今回行う作業
腰上を開けるにあたって一緒に行った作業もあります。
※クラッチ交換については長くなるのでまた今度別記事で書きます。
必要な物
- ピストンKIT(ピストン交換の場合)
- ピストンリング(リングのみ交換の場合)
- ガスケットセット(リングのみ交換の場合)
- クーラントドレンのワッシャー(M6の銅ワッシャー)
- 各種工具(専用工具などはなくても出来ます)
今回はピストン交換もするのでピストンKITを用意しました。
※ピストンにはGR1とGR2という大きさが微妙に違う物が2種類ありますが、大体はGR1です。心配なら確認(シリンダーヘッドカバーまで開ければ見れます)してから注文しましょう。
作業
準備
- シート、タンク、チャンバーを外します
- クーラントを抜きます
- プラグやラジエターホースなどシリンダーに繋がっているホース類を外します
- エンジンハンガーのボルトを外す(3本中2本外せば上へ逃せます)
これで準備は完了です。
シリンダー取り外し
- シリンダーヘッドカバーを外します(10mm)
- 排気デバイスのカバーを左右とも外します
- 排気デバイス右側から腰下に繋がってるロッドを外します 赤丸の部分です矢印の六角を緩めて外します
- シリンダーのナットを緩めます(12mm・上の写真のように排気デバイスのカバー内のナットはメガネじゃないとアクセスできません)
- シリンダーを外します(外れにくい場合はプラハンマーで小突きながら外します)
これでシリンダーが外れます。
ピストンの取り外し
- 腰下に物が落ちないようにウエスなどで塞ぎます
- サークリップを外します
- ピストンピンを抜きます
これでピストンが取り外せます。
ピストン&シリンダー点検
ピストンやシリンダーに傷がないか確認します。
今回はとても綺麗な状態でした。
カーボンもあまり溜まっていません。
ピストンリングの角度
ひとつ気になることが。
ピストンリングの合口の角度です。
ずいぶん合口が近いです。
前に4ストエンジンをバラした時は60°くらい開いていましたし、開くようにとネット記事にもありました。
他の人の記事も読んだところこの角度だった人も多いようです。
新品のピストンもすでにリングが装着された状態なのですがこの角度でした。
「なにかこの角度じゃないといけない理由があるのでは?」と悩んでいたらすぐに解決しました。
もともとピストンに切り欠きがあってこの位置じゃないとシリンダーがハマらないようになっていました。
ですので装着する際はこの切り欠きにピストンリングを合わせましょう。
排気デバイス清掃
ピストンKITには排気デバイスのガスケットも付属してあります。
面倒でもないですし、カーボンが溜まりやすい箇所なのでどうせなら分解清掃した方がいいでしょう。
分解したらカーボンを剥がしていきます。
僕はガスケットリムーバーを使いました。
清掃が終わったらガスケットを新しく替えて元通り組んでいきます。
排気デバイスの稼働部にグリスを塗布します。
六角ボルトはロックタイトを塗ります。
排気デバイスがちゃんと稼働するか確認します。
ピストン取り付け
ピストンに目立ったキズ等はなかったですが、今回はピストンも交換していきます。
- コンロッドにオイルを塗布したベアリングを入れる
- 新しいピストンの片側にサークリップを入れておく
- ピストンの向きを確かめてピストンを取り付けピストンピンを挿す
- もう片方のサークリップを取り付ける
これで完了です。
シリンダー取り付け
- ベースガスケットを新しい物に替えます
- シリンダー上側の2つのOリングを新しい物に替えます
- ピストンリングを切り欠きに合わせます
- ピストンリングを押さえながらシリンダーをゆっくりハメ込んでいきます(エンジンオイルを塗布しておくと入れやすいです)
- シリンダーのナットを締めます
- 排気デバイスのロッドを元に戻してカバーを取り付けます(ガスケットも新しい物に替えます)
- シリンダーヘッドカバーのOリングを新しい物に替えて取り付けます
これでシリンダーは取り付けできました。
ガスケットの厚さ
KITにはいろんな厚さのガスケットが6種類入っている(0.75mm、0.50mm、0.40mm、0.25mm、0.20mm、0.15mm)ので今付いてるガスケットと同じ厚さになるよう組み合わせて取り付けます。
ガスケットは見分けが付かないので元々付いていたガスケットをノギスで測ります。
ノギスは0.01mm単位まで測れる物がいいです。
僕の場合は0.60mmだったので0.40mmと0.20mmを合わせて0.60mmにしました。
チャンバーを磨く
せっかくチャンバーを外したので取り付ける前に綺麗にします。
普段の洗車はケルヒャーで流すだけでブラシで磨いたりしないので、落としきれなかった泥が熱で固まってしまっています。
まずは水と真鍮ブラシで磨いて汚れを落とします。
それからピカールで磨き上げてみました。
かなり綺麗になったと思います。
元通りに組み付けていく
ここまできたらもうエンジンをかけることが出来るのでエンジンをかけてテストしたら終了です。
まとめ
今回初めて150XC-Wの腰上オーバーホールを行ってみました。
とても整備性が良かったので1日あれば十分出来ると思います。
僕の使用頻度と乗り方では1年ではちょっと早過ぎなくらいでした。
1年でピストンリング交換&2年でピストン交換でもいいかなと。
もしくは2年に1回ピストン交換とか。
まあこれはこれからの乗り方や使用頻度によって決めていきます。